佐々木 淑子 (ささき としこ)
経歴
1947年岡山県生まれ。
現代詩を機軸として 童話、脚本、作詞などジャンルを超えて執筆活動を展開している。
鎌倉ペンクラブ会員 JASRAC会員。
詩集 『母の腕物語』1998年 (現代日本の詩人シリーズ6 近代文芸社)
『未生MIU』2008年 (港の人)
『母の腕物語 増補新版―広島・長崎・沖縄、そして福島に想いを寄せて』2014年 (コールサック社)
【詩の紹介】
地球はでっかいキャンバスだから
あなたの心のパレットに
やさしい緑はありますか
はっぱのおふとんにくるまって
ひな鳥たちはおひるねね
そんな緑はありますか
地球はでっかいキャンバスだから
わたしにください愛の色
あなたの心のパレットに
やさしいみず色ありますか
サンゴの林をスーイスイ
おさかなたちはかくれんぼ
そんなみず色ありますか
地球はでっかいキャンバスだから
わたしにください愛の色
シロツメグサの約束
シロツメグサの花束を掲げて
丘を駆け巡った あの夏の日
忘れはしない あなたのこと
あなたと交わした あの約束
ずっと 友達でいようねと
とても寒い三月のこと
突然 大地が裂けて
海が丘を駆け登ってきた
あの時
シロツメグサのこの丘で
声を振り絞り
ちぎれそうになるまで 手を振り続けた
きっと また会おうねと
あなたは 何処に
忘れはしない あなたのこと
あなたと交わした あの約束
あなたの手のぬくもりは 私の手の中に
あなたの眼差しは 私の瞳の中に
ずっと 生き続ける
シロツメグサの花のように
香り高く 咲き続ける
暖かな春が来て
傷ついたこの丘を
シロツメグサは埋めつくすだろう
あなたとの あの約束を果たすかのように
(東日本大震災発生二〇一一年三月十一日
午後二時四十六分)